- 不具合の症状
- パワステポンプよりオイル漏れ
- 異音などはなし。単なるオイル漏れ!
- 不具合箇所の予想
- オイルシール類の劣化!分解してパッキン類を交換。
年数が経過してくると、必ずと言っていいくらいオイルが漏れてくるのがパワステポンプです。
漏れたオイルは、当然下のA/Cコンプレッサーやオルタネーターなどにも伝わり、油まみれになり他のトラブルになる可能性もあります。
さらに、サスペンション廻りのゴムブッシュ等にオイルが付着すると、ゴムがへなへなになり、ブッシュも傷んでしまいます。
オイルが漏れていても、オイルさえ切らさなければ、ポンプ内部のダメージも少ないので、この段階で修理して置く事が得策だと思います。
今回はパワステポンプを分解して、オイルシール類とシャフトのベアリングを交換します。
パワステポンプは比較的上部に付いている事が多いので、取り外しも楽に出来ます。
まず、ポンプを取り外したら、よく観察して何処がオイル漏れの原因なのかある程度見極めておきます。
リザーブタンクからポンプに入ってくる部分にあるパイプの根元から漏れているようで、その部分のオーリングを交換すれば直りそうですが、全部分解して、シール類は全て交換します。
次にオイル穴にメクラをして、外部をよく洗います。
エンジンでもミッションでも、分解する時は必ず外部の泥汚れなどを落としてキレイにしてから分解するのが鉄則です。
汚いまま分解すると余計な手間がかかります。
パワステポンプは構成部品が少ないので分解は、非常に簡単です。
・・・ですが、分解には細心の注意が必要です。
ふたを外す時、中の部品が飛び出してきたり、小さなチェックボールがあったりと・・・いろいろな事を想定しながら分解します。
組み付ける時よりむしろ、バラす時のほうが重要です。
分解しながら、部品がどの方向にどのように付いていたか、注意深く観察しながら作業します。
とにかく、元通りに組みなおせば、100%失敗はありません。
失敗の殆どは、向きが逆とか、順番が違うとかいった事ですから・・・
外した部品を置いた瞬間に、「あれ!どっち向きだったけ?」なんて事がよくあります。
バラした部品の置き方を、自分なりに法則を決めておくと良いと思います。
私は、外した部品は必ず、おわんの蓋を開けて置くように、サイドにひっくり返して置くようにしています。
ポンプのペラにも向きがあります。
インペラの位地は変わっても構わないのですが、小さなキャップに入れて、全ての位地も向きも変えないように工夫しています。
ボルト4本取るだけで殆ど分解できてしまいますが、メインのシャフトはベアリングが圧入されているので少し硬いです。
シャフトの頭を軽く叩けばベアリングごとシャフトが抜けてきます。
ポンプの中身はたったこれだけです。
単にオイル漏れしていただけなので、あとは洗浄しながら、シール類を交換して組み直せば良い訳です。
ベアリングはシャフトに圧入しますが、プレスなんて必要ありません。
万力で挟む、あるいは、ハンマーで叩いても入ります。
ただし、ベアリング内側のカラーをパイプを差し込んで押すようにしないとダメです!
ベアリング&シャフトを本体に圧入する際は、ベアリング外側のカラーを押すようにします。
とにかくベアリングの圧入は、勘合する部分のカラーを押さないとベアリングをいためてしまいます。
オーバーホール用のシールキットです。
たったこれだけ!!
いかに部品が少ないか分かると思います。
オーリングを交換するときは、千枚通しみたいなもので挿入しています。
単純に指で入れると、必ずゴムがねじれてしまいます。
ねじれたって、どうって事はないと思いますが、私はねじれないように気を使っています。
プーリー側は、ボールベアリングが使用されていましたが、内部はメタルのベアリングが入っています。
オイルなしで回すと焼き付いてしまうでしょう。
交換することも可能ですが、
この部品はリビルト業者等でないと入手不可能だと思います。
最後にもう一度清掃して完了!
オイル漏れ=パワステポンプ交換が当たり前になっています。
確かにパワステポンプ本体を交換すれば簡単ですが、この程度のオーバーホールを出来ない整備士では恥ずかしいと思います。