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「クラウン病の元凶」を徹底検証

クラウン病
クラウン病とは、主に130系クラウンによくあるケースで、ステアリング・サスペンション廻りの僅かなガタのせいで高速走行時やブレーキング時にステアリングが「ガタガタぶれる」症状のことです。

ステアリングがガタつきやすい130系クラウン

クラウンにはもう何台も乗り継ぎましたが、そのどれもが、ステアリング関連がガタツキやすく、ハンドルがぶれる、いわゆる「クラウン病」になりやすようです。

クラウン病の主な原因は、ステアリング廻りのジョイント部分にガタがでて、そのせいで、高速走行時やブレーキング時にステアリングが「ガタガタぶれる症状」が出てしまいます。

この症状がでるクラウンはかなりの数いると思われます。

リサーキュレーティングボール式のステアリング形式

クラウンは、リサーキュレーティングボール式のステアリング形式なので、ジョイント部分が多く、ガタが出やすいのは確かです。

とにかく、「ピットマンアーム」「アイドラアーム」「左右タイロッドアッシー」など全ての、ジョイント部分を交換してガタツキをなくせば絶対に、「クラウン病」は治ります。

それでも直らない場合は、ステアリングシャフトのガタツキに原因があります。

エンジンルーム内のステアリングシャフトとギヤボックス間のカップリングを左右に回してガクガクするようなら、メーンシャフトのブロックベアリングが磨耗していますし、ゴムのフレキシブルカップリングがへたっています。

それでも直らないクラウンは、ハンドルを前後にスライドできるテレスコピック式ではないですか?
ステアリングを左右に回転させるとハンドル付近がガクガクするようなら、シャフトのスライド部分にガタがあります。

その他には、ステアリングギヤボックス内でガタがある場合があります。その際セクターシャフトの調整で直る場合もあるかもしれませんが、いままでの経験からして、ギヤがダメになる可能性は低いと思います。

でもなぜこんなにもガタが出やすいのでしょう?

クラウンは、リサーキュレーティングボール式のステアリング形式なので、ジョイント部分が多く、ガタが出やすいのは確かです。

これはある程度、しょうがない事だと今までは思っていました。

そこで今回、「クラウン病の元凶」を徹底検証してみました。

クラウンをローダウンして、太いホイルを履くと、ステアリングをいっぱいまできって旋回する際、外側のタイヤが「ズズズズ」と言う感じで、スリップするような現象が起き小回りできません。

この現象は、クラウンに限らず、ステアリング形式が似ているベンツなんかでも起こります。

ホイルが太くなったので、ノーマルのホイルセンターの位置から外側にずれるので、ハンドルを切る際、タイヤがその場でピボット的に回転できず、扇状に移動しながら回転するのも一因ではないかと思います。 (ノーマルでも多少扇状に移動する!)

しかしクラウンの場合この現象が強い傾向があるように思います。

太いホイルを履かないでも、ノーマルの細いタイヤでもなっていた車もありました。

そもそも旋回時のアライメントはどのようになっているのでしょうか?

「アッカーマンステアリング」と言うのがあります。

アッカーマンステアリングとは

「車が旋回する時、外側車輪よりも内側車輪の方が大きな切れ角をもつように設定されたジオメトリーの事」です。

車の設計をする人には常識でしょうが、修理人にはキャンバー、キャスター、トーなどのアライメントを考慮する事はありますが、旋回時のアライメントを考慮する事はまずありません。

・・・と言うよりも、調整出来ないので、当たり前です。

コーナリング中はスムーズな旋回をする為にアウト(外側)タイヤより、イン(内側)タイヤの方が若干多めに切れているのです。

要するに左右の「ハンドル切れ角度差」を自動的につけてやるジオメトリーの事を「アッカーマンステアリング」と言いいます。

なぜこんな事を説明するかと言いますと、ステアリングをフルロックまできって旋回すると「ズズズズ」となってスムーズに旋回出来ないのは、「左右のタイヤの向きがバラバラだからではないか!」と考えたからです。

直進時のアライメントは、キャンバー、キャスター、トー、で設定されていますが、旋回時の左右タイヤの向きを任意に調整する事はできません。

この角度差は設計段階で決定されています。

トー角を調整すれば、旋回時のタイヤの向きが変えられ、最適な角度に調整する事もできますが、直進時のトー角も変化してしまい、直進性に影響が出ます。

クラウンの具体的な、「ズズズズ」の症状は、外側タイヤがさらに外に追いやられ、進行方向外側へスリップしていく感じです。結果小回りが利きません。

家にあった車のラジコン模型でフロントタイヤの角度を、極端にトーアウトにしたりトーインにして旋回させる実験をしてみました。

旋回時に極端に角度差を「トーイン」にしてみると上記のような傾向になります。

逆に、極端に「トーアウト」にして旋回すると、内側タイヤが回転外側に引っ張られるように「ズズズズズ」となります。

やはり結果小回りがしにくい状態ですが、「トーアウト」すぎるほうが、若干回転性は良いように感じます。

いずれの状態も、左右のタイヤが行きたいほうに行けず引っ張り合っているので、ステアリングリンケージにお大きな負担が掛かっています。

「この状態を続ける事によって、ステアリングリンケージのジョイント部分に負担が掛かって、ガタがでてしまいます。」

この事が、そもそも「クラウン病の元凶」ではないでしょうか!!