- 1G-GT圧縮もれ測定
- エンジンを分解オーバーホールしていく過程で、シリンダーの圧縮漏れを測定し、オーバーホール後の変化も測定してみた。
前回は、ヘッドが載っている状態で、リークテストしましたが、
今回はシリンダーに蓋をして、シリンダーのみの、「気密状態」をテストしてみました。
このテストで何が判るかというと、
ピストンリングからの圧縮漏れが、どの程度なのかが正確に判断できます。
ヘッドが載った状態で、リーク量が「0.2」という数字になりましたが、
「この数字は、かなり優秀な数字です!」と説明しましたが、どのくらい優秀なのか、証明したいと思います。
このテストの考え方はこうです。
ヘッドが載った状態で、リーク量が「0.2」の時、
シリンダーのリーク量も同じく「0.2」だとしたら、「圧縮漏れのすべては、ピストンリングから」という事になります。
即ち、「バルブからの、圧縮漏れは全く無い」という事が判ります。
反対に、シリンダーのリーク量が「0.1」だとしたら、「バルブの当たりが悪く、バルブから若干の圧縮漏れがある」と判断できます。
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シリンダーに蓋をしてしまいます。 |
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蓋のてっぺんから、空気を入れられるようになっています。 |
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3.5キロの圧力を掛けますので、蓋が飛ばない様に、蓋を固定します。 |
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リークテスターをセットしてそれぞれのシリンダーの「リーク量」を計測しました。 シリンダーの摩耗があると、ピストンがどの高さにあるかで、数値が変わると思いますので、 シリンダーの上方、真ん中、下方の、3個所で測定しました。 |
1G−GT シリンダーリークテスト 結果 | ||||||
NO1シリンダー | NO2シリンダー | NO3シリンダー | NO4シリンダー | NO5シリンダー | NO6シリンダー | |
ヘッド搭載時 | 0.30 | 0.20 | 0.21 | 0.25 | 0.40 | 0.31 |
シリンダー上 | 0.21 | 0.20 | 0.19 | 0.19 | 0.41 | 0.20 |
シリンダー中 | 0.20 | 0.20 | 0.22 | 0.19 | 0.45 | 0.20 |
シリンダー下 | 0.21 | 0.19 | 0.20 | 0.19 | 0.40 | 0.29 |
判定 | ||||||
バルブ当たり | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
ピストンリング | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ▲ | ◎ |
シリンダ摩耗 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
この数字の見方は、「ヘッド搭載時のリーク量と同じ」もしくは近ければ、バルブの当たりは良好で、離れていれば、ピストンリングの消耗が考えられます。
「NO5シリンダー」が、一番リーク量が多かったので、ピストンリングの状態が若干悪いのかもしれません。
シリンダー「上、中、下」の数値にばらつきがあれば、シリンダーの摩耗が考えられます。
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測定結果表では、1/100の単位まで書いてあります。 このメーターでは、とても1/100までの単位まで、精密に計測できません.。 大雑把に見ると、どれも同じ数字になってしまいますので、針を良く見て、細かく読み取っています。 |
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リーク量の一番多かった、「NO5シリンダー」に、 オイルを少し入れて再びリークテストをしてみました。 |
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するとリーク量は「0.18」になりました。 これは、ピストンリングの圧縮漏れ部分を、オイルがシールドするからです。 |
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今度は、ピストンが完全に浸るまで、オイルを入れて、リークテストしてみました。 すると完全に、空気の漏れる音も無くなり、リーク量は「0」になりました。 しかし暫くすると、「プシュー」と空気が漏れる音がして、リーク量は「0.15キロ」になりました。 これは、リングの合口から、オイルが漏れて、なくなってしまったからです。 最初にも言いましたが、完全に圧縮漏れをなくす事は出来ません。 この数値が、このエンジンの最高(限界)の数値だと思います。 新車でもこの数値には及ばないと思います。 むしろ2万キロ位走行して、ピストンリングの当たりが良くなっている車の方が、気密は高くなっていると思います。
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という事で、「リーク量0.20は優秀」と言う事が証明出来たと思います。
この数値は、他のエンジンにはあてはまりませんので参考程度にしかなりませんが、1G系のエンジンには通用するのではないでしょうか! |