- 小回りが出来ないクラウン病
- クラウン病には高速走行時やブレーキング時にステアリングが「ガタガタぶれる」症状ともう一つ、ステアリングをいっぱいまできって旋回する際、外側のタイヤが「ズズズズ」と言う感じで、スリップするような現象が起こり、小回りできない・・・といった症状があります。
ステアリングをいっぱいまできって旋回する際、外側のタイヤが「ズズズズ」と言う感じで、スリップするような現象が起こり、小回りできません・・・・
「この原因はアッカーマンステアリングに関係あるのではないか!」と言う事は前回説明しましたが、「ズズズズ」の原因はもう一つあります。
クラウンに乗っている方はみんな感じている事だと思いますが、
なんかステアリングがカッチリしていなくて、ぶよぶよした感じがします。
古い設計のステアリング形式なので、ラック&ピニオン式のようにダイレクトな操作感は望むべくもないにしても、足回りの柔らかさと相まって、
ステアリングも「ぶよぶよ」した印象です。
実は、本当に「ぶよぶよ」しています。!

ステアリングをめいっぱい切った位置から手を離すと、

4分の1回転近くステアリングが勝手に戻ってしまいます。
これは、どう言う事かというと、
ナックルアームにあるストッパーボルトが、ロアアームに当たるのでそれ以上いけなくなるので、ステアリングはそれ以上きれません。
当たり前の事ですが・・・
でも実際はストッパーに当たってからも、もっとステアリングがきれています。
ストッパーに当たった後も、ステアリングをきっていくと、ナックルアームはロアアームを押しのけるようにして、「ぐにゃ!」とロアアームがよじれて止まります。
このストッパーに当たった後「ぐにゃ!」っと止まるまでが、ステアリング4分の1回転分です。
ですから、いっぱいきった状態から手を離すと、アームやらブッシュやらの変形を、元に戻そうと働く力によって、ストッパーに当たる位地まで押し戻されます。
ここにも、「クラウン病」と「ズズズ」に関係する原因があると思います。
ストッパーに当たった位置でカチっと止まれば、良いのですが、
さらにステアリングをきって行くと、ロアアームがよじれて、テンションロッドクッションが潰れて、各部がもうこれ以上変形出来ないってところでようやく止まります。
この時、設計時のアッカーマンステアリングのジオメトリーがかなり崩れています。
前回、アッカーマンステアリングのジオメトリーを変化させる事によって、スムーズに旋回出来る事が分かりました。
しかし、結局精密に設定したとしても、ステアリングを目いっぱいきってしまえば、設定したジオメトリーになっていません。
ですから、「ズズズズ」となってしまうのではないでしょうか。
そこで、アームの角度を僅かに内側に向けてやると、ジオメトリーが変化してしまった分を、若干緩和出来るのではないかと思います。
ですが、この方法も完璧と言う感じではありません。
所詮、つじつま合せにしか過ぎないと思います。
ラック&ピニオン式のステアリングはストッパーがありません。
ラック内のギヤ自体でストップがかかるからです。
クラウンは形式が違うのでステアリングギヤボックス内で機械的にストップはかけられません。

しかし、ピットマンアームの左右を規制してやれば、ジオメトリーも変形せずに「カチ」っと止める事が可能だと思います。
実際ジープとか4輪駆動車でそのような形式を見た事があります。
クラウンでやって出来ない事はないのですが、スペース的に厳しいのと、ステアリングですので、問題が起きた時、最悪ステアリングが切れなくなる事も・・・
やはりちょっと難しい!
まとめ
クラウンのステアリングはめいっぱいきってはいけません!
ステアリングリンケージ及びブッシュ類を痛めます。
カーブでぎりぎりの時は、めいっぱいきった状態からさらに力を加えてはいけません!
気持ちは分かりますが、力を入れても小回りできません。
「クラウン病」の発症が早まりますよ。
もう一回切り返しましょう!