- 旧車をセルフレストア
- 全くの板金素人が試行錯誤で旧車レストアに挑戦・・・
旧車を手に入れたのは良いが、塗装が劣化していて良く見るとクリアー層に細かいひび割れが発生しているので、いくら磨いてもピカピカにはならない。
そこでボディーを軽く直してからオールペンしたんですが、板金も塗装も全く経験がないのに全ての作業を自分ひとりでやったのです。

この作業に1年半かかりました。
フルレストアまでいかないにしても、とんでもなく手間と時間をかけて試行錯誤しながらなんとか完成させました。
あまりにもたいへんだったので完成した時はまったく嬉しくもなく「うんざり」って感じでした・・・
整備は出来るけど、板金塗装は全くの素人でして、普通は自分でうまく出来るとは思わないですよね。
もちろん最初はプロに任せようと思ったんですが、エンジンルームやドアの内側や室内なども塗装したらとんでもなく費用がかかります。
そこで傷や凹みを自分で直して処理しておいてオールペンのみプロに依頼しようと思っていろいろやるうちに塗装も出来そうな気になって全部自分でやりました。
板金
まずドアの凹みを板金して直しました・・・・が初めてでそんなに簡単に綺麗に仕上げられる訳もありません。オールドタイマーのバックナンバーを読みあさって鉄板の修正のやり方を調べまくりました。
ドアはポールにぶつけたらしく縦に凹んでいて、プレスラインをまたいで凹んでいるのでまずプレスラインの部分を出しながら整えていくかんじにしました。
かなり試行錯誤しながら、まあ納得のレベルまで整ったのでパテを入れて磨くとうまく出ていない部分が・・・ボロが出てきて、また叩いてやり直してパテで・・・この作業を10回以上やりました。
完璧に鉄板を修正できれば後のパテや塗装が楽ですが、板金があまいとパテなどでごまかすのにかなり手間がかかります。凹んだ部分をパテで埋めてもダメなんです。
凹んだ部分を裏から叩いても平らになりません。凹んだ部分の裏に当板を入れて表側の凹み周辺を叩くとだんだん平らになります。
とにかくうまく修正するには良く見ることだと思いました。
あらゆる方向から、あらゆる角度から、時には触って見て、どこから凹んでいるのか、どこから膨らんでいるのか、よ〜く観察することが重要です。
その辺りを的確に見極められないと関係ないポイントを叩いてなかなか平らになりません。
やはり板金の技術は匠の技だなと・・・そんなに直ぐにできる様になる訳がない!
パテ付け
板金・塗装の作業のなかで一番難しいと感じたのはこのパテ付け作業です。
パテ付けが綺麗にできないと、後の処理がとんでもなく手間がかかります。
パテを硬化剤と混ぜ合わせて練ってヘラで鉄板に擦り付けるだけ!・・・そんなに難しい作業ではないのですが・・・これが何度やっても綺麗にパテ付けできません。
パテが厚く付き過ぎたり、途中で足りなくなってしまったり、何度もヘラで均してかえって変な風になったり・・・
じっくり丁寧にやる作業なら何とかできますが、パテ付けはもたもた丁寧にやっていたらダメです。
勢いと思い切りの良さが必要です。
毛筆が得意な人はうまいかもしれません。
自分は、定規などを使って書く製図は得意なんですが、フリーハンドでダイナミックに書く毛筆などは苦手です。どうしてもちまちまやってしまいます。
パテ付けだけは最後まで自分で納得できるような付け方ができませんでした。おかげでパテ砥ぎがかなり手間かかりました。
パテ砥ぎ
パテ砥ぎはオービタルサンダーに荒めのペーパー付けて研げば平らになるだろうと思って実行しましたが、ぜんぜん平らになりません。・・・凹みました・・・
板で当て板を作ってペーパーを巻いて、まず自分の手で出っ張った部分のみを削って徐々に平らにしていきました。
いろいろ凹凸に合わせて当て板の角度や力加減を変えて試行錯誤して感じたことですが、当て板を面に対してフラットに密着させない方が良いです。
当て板の進行方向の後ろ側を若干浮かして、当て板の角の部分を使います。ペーパーを面で当てないで線で当てるようにします。しかも進行方向に対して45度程の角度を保って研ぎます。
往復で研がないで一方方向に研ぎます。少し削れたら90度クロスさせた方向から研ぎます。
パテ面に付いたペーパー目を見ればどこが低いか分ります。低い部分はクロスしたペーパー目が残ります。また90度方向を変えて研いでを繰り返していくとペーパー目も均一になり徐々に平らになります。
車のボディーに真平らな面は何処にもなく、どの面も湾曲した曲面ですので、ペーパーを面で使わないで線で使うといろんな曲面に対応できます。
パテを手砥ぎで平らに出来るようになると、オービタルサンダーでも少しうまく研げるようになりました。
サーフェーサー

サーフェーサもパテの一種です。細かい傷や凹凸はサーフェーサーを厚く塗って研げば消せます。
サーフェーサーは仕上げ塗装用のガンより少しノズルが大きいほうが良いようです。仕上げ用ガンで吹いたら微粒化しすぎて、表面が粉っぽくなってしまいました。その上からまた塗り重ねるとエアーが入ってサフを研ぐと出てきてしまいピンホールだらけになります。
サーフェエーサーを吹いたパネルを水砥ぎすると面が綺麗になるので僅かな凹凸が浮き出てきます。一見綺麗に修正されていたパネルの僅かな凹凸がここで出てしまいます。
もう一度サーフェーサーを吹いて研ぎ直しても修正できずまた板金からやり直したりもしました。
結局板金がきっちり出来ていないと後の手間が掛かってしまいますね!
板金していないパネルも全てサーフェーサーを吹いて全ての面を手砥ぎして綺麗にしました。
サーフェーサーを研いだ状態が綺麗であればあるほど、仕上げ塗装も綺麗に仕上がります。
仕上げ塗装

仕上げの塗装の出来は下準備がどれだけ綺麗に出来ているかに掛かっていると思います。
車全体を塗装するので、一気に全体を塗装するのは難しそうです。
塗装ブースもないので、数段階に分けて塗装し全面大失敗を避けました。
屋根を最初に塗装しました。両サイドに足場になる長椅子みたいなものを設置して、右サイドを吹いたら左サイドに移動して吹くようにしました。
屋根は目線に入りにくいので多少の失敗は目立たないです。・・・が縦の面より難易度が高いです。とにかくごみが付き易く、意外とむらになり易かったです。ワゴンの屋根は面積が広いので足場を移動中に塗装面との距離を一定に保つのが難しいです。
今回使用した塗料は、塗料と硬化剤10:1比率のロックエースを使用しました。速乾の塗料です。
乾燥が遅い塗料のほうが肌がなじんで美しい肌になるようですが、ブース環境でないとごみが付きまくって後の処理が大変なので速乾を使いました。
初めて車を塗装するのに、ソリッド色でなくメタリック塗料を選んでしまいました・・・・
ソリッドの3倍手間掛かります。
車の塗装経験はないのですが、小さな物をエアーブラシで塗装したりは出来たのである程度塗装の勘はあります。まあ車塗装にはまったく役に立ちませんでしたが・・・・
メタリックはベースカラーを吹いて仕上げにクリアーを吹きます。
ベースカラーはまず薄く軽く吹き付けてはじかないか様子を見ながら1回吹きます。
少し時間を置いて、2回目はきちんと色が乗るように吹きます
。ガンさばきが悪いのかかなり色むらが出ているので、3回目を吹きます。
ここで色むらにならないように吹きますが、どうしてもむらが消えないです。そこでベースカラーをしゃばしゃばに薄めて3回目が乾かないうちにもう一度圧を上げてガンを離して遠くから速いスピードで一気に吹きます。
塗装した面全体をなじませるようにして塗装面を均一な状態にしてむらを消します。これで消えなきゃもう一度やります。
縦面のほうがむらが出にくい感じがします。
メタリックはむら消しに手間が掛かります。むらになりやすい色味があるようです。
ニッサンマーチの色で、チタンパールメタリックのブルー系なんですがむらが出やすいのかも?
仕上げクリアー
ベースがうまく吹けたら、クリアーで仕上げします。
クリアー塗料はロックエースのマルチトップクリアーなんですが、ベースカラーより難易度高いです。
透明なので、綺麗に塗ってやろうと思うといつの間にかたれていたりします。
たれるのをビビッてドライ気味に吹くと肌が荒くなってしまい荒くなった面に上塗りを重ねてもいまいち綺麗になりません。
たれる寸前の状態で全面吹けるのが理想ですが、なかなか難しいです。
だいたい、1回目にある程度艶が出る感じで吹いたら、ベースカラーが少し溶けるような感じでクリアーを吹いたラインがしましまになってしまいました。戻りむらというのか?
ここまできてまたベースからやり直しになった箇所もあります。
クリアー層の失敗は、いままでやった作業がまた振り出しに戻ることになります。それを嫌ってドライ目に吹くと美しい表面になりません。
塗装のコツは、塗装面が良く見える環境を整えることだと思います。逆光になるように照明を設置して塗装面の凹凸がはっきり見えるような環境にして塗装します。
とにかくよく見えれば、たれそうな感じだったらガンを遠ざけるなり早めに移動させるなり調整しながら適切な吹きつけ状態を探す事ができます。
クリアーは3回は吹きました。ベースと合わせて7層ほど塗り重ねた感じです。
綺麗に塗装を仕上げるにはどれだけ手間を惜しまないかと言うことを思い知らされました。

一番目立つボンネットは塗装が上達した集大成として最後に塗装しました。・・・
・・・しかし失敗、戻りむらになっているのと、肌が汚いです。
平置きでうまくいかないので棚に縦に掛けて、わざと縦面にしてやり直しました。
・・でも納得のいく仕上がりには出来ませんでした。磨いて綺麗にしました。
想ったこと
俺は車の修理にしろ、板金塗装にしろ、上手な人にやり方を安易に聞いたりしません。
やる前からいろいろ聞いても実感できないし理解できません。
とにかくやってみてある程度できる様になってから聞くようにしてます。
最初から聞いて作業すれば、かなり失敗を防ぐことが出来るでしょうが、綺麗に仕上げることは出来ません。
上手な人は、あらゆる失敗を経験済みです。
失敗した経験があるから、どうしたら失敗しないかの術をたくさん持っているのです。