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エンジン不動時の基本点検(スバルレガシー・BG5)

不具合症状
昨日までは問題なかったが突然エンジンがかからなくなった!
予想
点火してないか、燃料ポンプが動いていない

昨日まで、まったく問題なかったのに、突然エンジンがかからなくなってしまったとの事!

セルは回るが初爆もなく、まったくかかる気配がない。

アイドリングの調子が悪かったり、加速で息つきしてしまうなどの故障と違って、
エンジンが始動しない場合、決定的な原因が必ずあるので、比較的簡単に原因を見つける事ができます?

まず、点火しているか、燃料は来ているかを確認すれば糸口が必ず見つかるものです。

燃料が来ているかは、燃料タンク内のポンプの音を聞いてみます。

しかし、最近の車はイグニッションONでいろいろな物が作動するので、
「ウィーン」とかすかな音が聞こえてポンプの音なのか、他の部品の音なのか分かりません。

エンジン不動時の基本点検

そこで、エンジンルームの燃料ホースを指でつまんで張りがあるか、又脈動を感じるか・・・

・・を調べなさいって整備書に書いてありますが、指でつまんでも良く分かんないです。


燃圧がかかっている時とかかっていない時を比べれば分かりますが、
いきなりホースをつまんでも、「う〜ん?弱いのか??」

・・・てなもんです。

燃料は後回しにして、点火しているか調べて見ます。

タイミングライトをプラグコードにクランプさせて光れば、とりあえずは点火しようとしている事が分かります。

しかし、レガシーのようにダイレクトイグニッションでは、プラグコードもありませんので・・・

しかたなくプラグをアースさせて火花が出るか試してみます。

でも、スバルレガシーは水平対向エンジンなので、プラグは横から刺さっていて、全く見えません。

プラグを外すにも一苦労なので、プラグは外さず、イグニッションコイルだけ外して別のプラグでテストしてみます。

しか〜し、最近のダイレクトイグニッションのタイプは火花点検をやっても、「う〜んスパークが弱いか??」

・・・と決定的にダメだ!と判断できません。

糸を引くような弱いスパークでも正常な場合があるのです。

安易にイグニッションコイルを交換しても直らない場合があります。

・・・・とまあ、基本的な事を診ても良く分からない事も多く、時間の無駄なので、ダイアグをまず診て見ると良いかと思います。

ダイアグソケットダイアグソケット

センサーなどが不良で、かからない場合もあるのでダイアグでテストすると、あっさり原因が分かる場合もあります。

運転席足元の、黒いカプラがダイアグリードモードで、緑のカプラがテストモードです。

ダイアグモードでは不具合コードは出力されませんでしたので、センサー類に問題はなさそうです。

今度はテストモードでやってみます。

テストモードでは、フューエルポンプを断続的に強制駆動させるようになっているので、 さっき聞いても良く分からなかったポンプの作動音を確認する事ができます。

耳をすませて、断続的に音が出ていなければポンプは動いていないことになります。

電動ファンも断続的に回転していますが、
よ〜く聞いても、燃料ポンプの断続的な作動音は聞こえないようです!

やはりポンプが動いていないな〜

エンジン不動時の基本点検

ポンプが動かないのは、ポンプ自体の不良なのか、リレーなどの不良なのかを判断しなければなりません。

いきなりポンプを外したりしません。


電源はきているので、ポンプの抵抗を計ってみます。

すると、500KΩ!
ちょっと大きいか?

とにかく、モーターやソレノイドなどは、抵抗を計ってみると様子が分かります。

もし抵抗が無限だったら、断線しているのでモーターは回転しません。

抵抗が異常に大きかった場合は、接触不良や不具合があり、正常に回転できません。

モーターを仮に電球と考えれば簡単に理解できるかと思います。

ちょっと叩いてみると、10MΩに!
さらに叩くと、50KΩに〜

あ〜分かった!
これでかかるかも!

カプラをそ〜とはめて、セルを回してみるとブルーン!!

普通にエンジンがかかりました。

その後、何度やってもエンジンはかかります。

モーターは、回転しているアーマチャコイルにブラシを押し付けて電気を供給していますが、 一箇所だけセグメントの接点が不良になっても、次々に隣のセグメントに接点が移動していってしまうので多少の接触不良があってもモーターは回転し続けます。

ただし、接触不良のセグメントの位置で接点が止まってしまうと、回転を始められません。

セルモーターが勘合するリングギヤの歯が一箇所だけ欠けているのと同じような状態です。

こんな場合は、衝撃を与えてやると動き出す場合があるのです。

しかし、燃料ポンプは分解出来ませんので、交換するしかありません〜

原因が分かれば99パーセント作業は終わったようなものです。
あとはポンプを交換すればOKです。

修理をしている方なら誰しも経験があると思いますが、
この部品を交換すれば直ると思って交換してみたら、まったく状態変わらず!

これは完全に自分の判断が間違っていた事になります。

・・・かと言って、完全に怪しい部品を取り外してテストして不良を確認していたら時間の無駄だし、儲けになりません。

この辺りの判断が難しいのです。

勿論わたしも、この経験は何度もあります!

何も診ずに即部品交換してしまう事もありますし、入念にチェックして部品交換する場合もあります。

状況や車によっていろいろですが、さすがに燃料ポンプが動いていないのに、ろくに調べずイグナイターを交換するのはまずいと思います〜