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タイミングベルト交換の重要ポイント

不具合症状
タイミングカバー付近から異音がする。
予想
ウォーターポンプか、タイミングベルトテンショナーベアリングの不良?

タイベル交換

タイミングカバーのあたりから、異音がしている。

エンジンの調子は悪くないし、タイミングベルトは交換済みで、交換後1万キロ程しか走行していない。


ウォーターポンプは未交換なので、軸のベアリングあるいは、シールから音が出ているのでは?

しかし、音はベアリングがごりごりいっているような感じではなく、あまり聞いたことがない感じの音!

なんて表現すれば良いか、表現しずらい音種なのです。

でもエンジンを吹かすと音も大きくなり明らかに回転部分に関連した異音です。

そこで、ウォーターポンプを交換することにしました。

タイベル交換

ベルト類を取り外して、ポンプを手で回してみると、キシキシ・・・・とゴムのきしむような音が出ています。

やはり、ポンプのメカニカルシールが劣化して異音が出ているようです。


ウォーターポンプを交換するには、タイミングベルトを取り外さなければなりません。

やはり、タイミングベルト交換時に一緒にウォーターポンプも交換するべきですね!

タイベル交換

タイミングカバーを開けてみると、ベルト交換後1万キロしか走行していませんので、タイミングベルトはまったく問題なしです。


タイベル交換

しかし、タイミングベルトがかなりゆるいのです。

10万キロ走行した車でも、ここまでゆるくはなりません。

表現しにくい音は、タイミングベルトがゆるくて、バタついていた音だったようです。


いずれにしろ、ウォーターポンプも交換するので、タイミングベルトを取り外します。

タイベル交換

クランクのボルトは、例によってトルクコンバーター取り付けボルトを固定して緩めました。


タイベル交換

タイミングベルトを取り外す時は、1番を圧縮上死点にするのが基本ですが、私はあまり気にしてません。

とにかくカムプーリーとクランクプーリーの相対位置が変わらなければ良いので適当なところでマークして外してしまいます。


バルブとピストンが干渉する可能性のあるエンジンや、V6とか複雑なやつは、上死点を出して作業したほうが安全です!

そして、タイミングベルトを外している状態で、クランクやカムを単独で回転させてはいけません。

バルブがピストンに干渉するエンジンの場合、バルブが簡単に曲がってしまいます。

どんなエンジンでも単独で回転させないほうが無難です。

タイミングベルト交換 タイミングベルト交換

タイミングベルトは、オイルが付着すると極端に寿命が短くなるので、 タイミングカバーの裏や、周辺をきれいに掃除してから取り付けなければ、交換する意味がありません。

タイベル交換

ウォーターポンプを取り外すのに、一箇所だけスタッドボルトがあり、パワステポンプブラケットと共締めになっています。

スタットボルトを抜けば、パワステポンプを外さなくても〜

・・・なんて考えている間に外してしまった方が早いです!


タイベル交換

ウォーターポンプを交換したら、再びタイミングベルトを取り付けします。


ベルト類の取り付けは、タイミングベルト限らず、小さなプーリーから先に掛けて、 最後に大きなプーリーに掛けるようにすると、すんなりいきます。

小さなプーリーを最後に掛けると、きつくてはまりません。

きつくて入りにくい場合は、ベルトを先にセットしてしまって、 最後にアイドラベアリングを取り付ければ簡単でしょう。

タイベル交換

タイミングベルト取り付け時の重要ポイントは、位置を間違わないことは当然ですがもう一つあります。

タイミングベルトの張り具合(テンション)の調整です。


タイミングベルトの張り具合の調整は、油圧式オートテンショナーであれば気にする事もありませんが、 スプリングでテンショナーベアリングを引っ張っているタイプでは注意が必要です。

タイミングベルトをセットしたら、テンショナーベアリングの固定をわずかに緩めて、クランクを回転させて、スプリングの力で自動的にテンションがかかったらロックするのですが、最初にタイミングベルトのセットした奥行き方向の位置が悪いと、クランクを少し回しただけでは、タイミングベルトがプーリーに対して適当な位置に落ち着いていないので、一見しっかりはれたように見えても、実はゆるい場合があります。

整備書などには、クランクプーリーを2回転させて・・・

などと指示がありますが、
2回転させてベルトが落ち着いてからでなければ、適正なテンションになりません・・・と言う事です。

タイベル交換

カムプーリーをよく見てみると、以前ベルトがかかっていた位置が分りますので、その位置とぴったり合わせてから、テンショナーを調整すれば、2回転回さなくても、適正なテンションになります。


私の場合、クランクを半回転程回して、テンショナーをロックしてしまいます。

さらに、2回転させて、圧縮上死点をだして、プーリーの合いマークがずれていないか確認します。

最後に十分ベルトが落ち着いたところで、もう一度ベルトのテンションを確認します。

タイミングベルトの張り(テンション)は各メーカーでいろいろな方法で指示がありますが、 調整方法がけっこう複雑で直感的に分り難いのです。

私の意見としては、張りすぎは絶対によくないと思います。

張りすぎるくらいなら、ゆるいほうがましかも?

整備書の数字や調整方法にとらわれ過ぎると、 かえってゆるかったり、張りすぎたりする場合があります。

整備書の数字は、参考程度で良いと思います。

自分の手で確認することが大事でしょう。

ゆるいと思ったら張れば良いし、張りすぎだなーと思ったら緩めてやれば良い訳です!

交換後、異音はまったくなくなりすこぶる快調になりました。