- 不具合の症状
- 走行は可能だが変速しない。
- 前進とバックは出来る。
- 不具合の予想
- ガバナーバルブ、ブレーキバンドなどが破損?
走行テストしてみると、ローから変速していかない。
リバースは正常のようだ。
この症状は、以前にも経験済みで、おそらく同じ故障原因だと思われる!
以前に修理したミッションは、変速に重要な車速信号を作り出すガバナバルブのシャフトが折れてしまって、車速情報がないので変速しなかったのですが、今回もまったく同じような感じがする。
まず、ATミッションを降ろしたらオイル漏れや各部の状況をよく観察しながらきれいに洗浄します。
このATミッションは、古いタイプなので、油圧制御です。
リヤエクステンションハウジングを取り外してみます。
車速センサーであるガバナバルブのギヤが割れていました。
アウトプットシャフトが回転しても、ガバナバルブが回転せず、車速の情報を得られない状態なので、当然、自動変速は出来ません。
ガバナバルブです。
回転する事により、遠心力でバタフライが開いて油圧を変化させています。
車速情報を得る重要な部品です。
今回はラッキーな事に、樹脂のギヤが割れてくれたおかげで、シャフトはそのまま使えそうです。前回は金属のシャフトが折れてしまっていました。
ガバナバルブ本体は使えそうです。
割れたギヤを交換すれば直りそうですが、そんなに甘くありません。
ギヤだけ交換して組んでも、また必ず破損します!
ギヤが破損した原因は、別のところにあります。
画像はセカンダリーオイルポンプを取り外したところです。
センターの穴に、ガバナバルブの先端が見えています。
ガバナバルブが回転する事によって、オイルポンプも回転する仕組みになっています。
外したオイルポンプです。
よく見るとギヤに小さなスプリングが挟まっています。
このスプリングがギヤに挟まってロックしてしまったので、ガバナバルブも回転を止められてしまい、ギヤが破損してしまったのです!
じゃあ、「このスプリングは何処から来たんだ!」
バルブボディーを外して、オイルポンプまでの油路をたどってみます。
バルブボデーの真ん中へんに、樹脂のパーツがあります。
これが怪しい!
触ってみると、弾力が!
なかにスプリングが入ってるようだ!
しかしこの場所は正常!
画像は、新品の部品です。
中に、オイルポンプに挟まっていたスプリングが見えます。
樹脂なので、長年使われて硬化してしまい、なにかの拍子に割れてしまったのでしょう。
画像の箇所のバルブが破損して、油路を流れていき、オイルポンプに流れ着いてギヤに挟まってしまったようです。
要するに、ほんの小さなチェックバルブが壊れてしまったのが原因で、大きな故障へとつながってしまった! ・・・と言う事ですね!
コントロールバルブのオーバーホールとオイルポンプなどの清掃をしてATミッション本体のオーバーホールはせずに組みなおしまして変速は正常になりました!
かなり複雑な故障ではありますが、電子制御の「訳分からん故障!」と違って、絶対的な故障原因が目に見えるので、私はこんな修理のほうが好き!・・・